アフリカの王者
こんにちは!サービステクニシャンの庄司です。
引き続き、富士モータースポーツミュージアムで4月8日まで展示されているラリーの名車をご紹介いたします。
今回はグループBカテゴリーにおいて最も成功したFR車ともいわれている、トヨタ・セリカ・ツインカムターボ(TA64)です。
1980年代に入り、国産の高性能車に搭載されるエンジンは『ターボ』か『DOHC』かという議論がなされるようになっていました。
トヨタは81年7月に3代目となるA60型セリカをデビューさせており、当初は設計の古い18R―G型エンジンを搭載した2000GT(RA63)がトップグレードに据えられていました。
しかし、発売から1年2か月が経った82年9月には新開発のエンジンを搭載した1800GT―T(TA63)が登場したことで2000GTは早くもカタログ落ちすることになります。
その新開発エンジンは1770ccの排気量を持つ直列4気筒DOHC8バルブターボエンジンの3T―GTEU型であり、これは国産初のツインカムターボエンジンでもありました。
この1800GT―TグレードをベースにグループB規定の公認を受けるために限定販売されたのが、同年10に発売されたセリカGT―TS(TA64)でした。
市販仕様のGT―TSには、エボリューションモデル化を想定して『R―RIM』と呼ばれるウレタン樹脂製の前後ブリスターフェンダーを採用したほか、標準のGT―Tではセミトレーリングアームを用いた独立懸架式だったリヤのサスペンション形式を、廉価グレードに採用されていたラテラルロッド付き4リンクコイルのリジッドアクスル式サスペンションへと置き換えています。
これはラリーという競技を戦う上での整備性や耐久性を考慮したものでした。
インテリアは標準モデルとして設定されているラリーベース車の1600GTラリーと同じ廉価版内装を採用して簡素化されていました。
エンジンは3T―GTEU型のボアを0.5mm拡大し+21ccとした4T―GTEU型を搭載。
ただし総排気量以外のスペックは変わっておらず、最高出力160ps、最大トルク21.0kgmを発生しました。
僅か21ccの排気量アップには、最高出力の向上を目的としてエボリューションモデルで使用できる総排気量の最大値を拡大する狙いがありました。
当時の規定では当該クラスいっぱいまで