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2025/01/26

小排気量ターボの名車

こんにちは!サービステクニシャンの庄司です。

引き続き、富士モータースポーツミュージアムで4月8日まで展示されているラリーの名車をご紹介。
今回は2月に久々にプラモデルの再販が予定されているフランスの小さな名車、ルノー5ターボです。

ルノー・5ターボのベースとなった初代ルノー・サンクは1972年から84年にかけて販売された、1.4リッターまでの小排気量エンジンを搭載する3ドアまたは5ドアのハッチバックボディを持つFFのコンパクトカーです。

これを基に世界ラリー選手権を戦うグループ4クラスのマシンとして仕立てられたのが5ターボでした。
3ドアボディをベースに本来リヤシートのある位置へエンジンを搭載し後輪を駆動するミドシップリヤドライブへと駆動方式を改め、そのエンジンは5アルピーヌ用の1397cc直列4気筒OHV8バルブにギャレット・エアリサーチ社製T3タービンを組み合わせたもので、最高出力160ps/6000rpm、最大トルク22.5kgm/3250rpmを発生、5速マニュアルトランスミッションが組み合わせられました。
サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンで、フロントはトーションバースプリング、リヤにはコイルスプリングが組み合わせられました。
ボディは左右のドアとリヤハッチ、ルーフパネルにアルミ合金を採用、スチールパネルも板厚の薄いものを使用しバンパーも軽量な樹脂製を採用することで車両重量は970kgに抑えられていました。

最初のプロトタイプは78年にパリサロンで公開されたのち、量産モデルが発売される前の79年に公道レース『ジロ・デ・イタリア』にテストを兼ねて参戦、翌80年には販売が開始され、同年9月1日付でグループ4のホモロゲーションを取得しました。

初代5ターボは公認規定の400台を大きく超える1690台が製造されたと言われています。

83年から86年にかけては、ボディパネルをスチール製に置き換え、内装を量産型の5アルピーヌと同等の仕様へと変更し価格が抑えられた5ターボ2が販売され、3167台が生産されました。
このうち末期に生産された200台は、ストロークアップにより排気量が1430ccへ拡大された仕様で生産された5ターボ1430というモデルで、後のマキシ5ターボのベース車となっています。

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1980年の数戦のスポット参戦を経て、81年のWRCには開幕戦モンテカルロから出場しました。
グループ4仕様では更に軽量化され、車両重量は僅か900kgになり、エンジンは250ps/6000rpm、30.0kgm/7000rpmまでチューニングされていました。

そのモンテカルロラリーでは名手ジャン・ラニョッティのドライブで見事に優勝を達成しました。

5ターボはその後、82年2月1日に新たにグループBの公認を取得、これはサスペンションの改良や300psを発生するエンジンへ進化したものです。
1430ccの5ターボ1430は84年12月1日付で公認を取得し、これをベースとした競技用の20台のエボリューションモデルとして、85年3月1日に1527ccで350psを発生する最終型のマキシ5ターボへと進化していくことになります。

展示車両は81年のモンテカルロラリーで優勝した実際のマシンであり、1年ほど前にレストアされたばかりとのことで素晴らしいコンディションです。

☆ルノー5ターボ グループ4 車両諸元
全長:3664mm
全幅:1746mm
ホイールベース:2430mm
トレッド(前/後):1346mm/1474mm
車両重量:900kg
エンジン形式:水冷直列4気筒OHV8バルブターボ
ボア×ストローク:76.0×77.0mm
総排気量:1397cc
最高出力:250ps/6000rpm
最大トルク:30.0kgm/7000rpm
ギヤボックス:5速マニュアル
サスペンション形式(F/R):ダブルウィッシュボーン+トーションバー/ダブルウィッシュボーン+コイル

次回も引き続き、ラリーの名車が登場しますので、お楽しみに!!

富士モータースポーツミュージアムは年中無休です。
ただし臨時休館や車両入替等がありますので、公式ホームページや各種公式SNSでご確認ください。

庄司 純也 サービステクニシャン

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