2025/01/19
ラリースーパーカー
こんにちは!サービステクニシャンの庄司です。
引き続き、富士モータースポーツミュージアムの展示から。
今回から4月8日までの予定で開催されているラリーカーの特別展示をご紹介します。
まずはラリーで勝つためだけに作られたラリースーパーカー、ランチア・ストラトスHFです。
ラリー参戦を目的として開発されたストラトスHFの最初のプロトタイプは1971年のトリノショーでデビュー、翌72年のツールドコルスからプロトタイプとしてラリーに参戦、実戦を通して開発が行われました。
当時のラリーにおけるトップカテゴリーはグループ4と呼ばれる『連続した12か月間に400台以上生産された車両』をベースとしたマシンで競われており、ストラトスHFは1974年10月1日に公認を取得したものの、この時点で400台の生産が完了していなかったというのは有名な話です。
レーシングカーコンストラクターとして有名なダラーラが発案し、後にランボルギーニ・カウンタックのフレームを生産することになるイタリアのマルケージ社で制作されたシャシーは、センターモノコックに前後のスペースフレームを組み合わせたもので、同じくイタリアのカロッツェリア・ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニがデザインした特徴的なボディを装着、エンジンはフェラーリから供給されたディーノ246GT用をベースに専用チューニングされた2418ccのV型6気筒DOHC12バルブエンジンをリヤミドシップに搭載、トランスミッションはクロスレシオの5速マニュアルが組み合わせられました。
グループ4仕様では市販仕様でもオプションで用意されていたリヤのオーバーフェンダーが特徴的で、ルーフやリヤカウル後端のスポイラーは初期には装備されていませんでした。
競技での使用が前提で車内の収納は皆無ですが、左右のドアにはヘルメットが入る大きさのポケットが用意されています。
燃料タンクは片側40リットルの左右二分割式で合計80リットルです。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リヤがマクファーソンストラットで、前後とも量産仕様の状態で車高調整式の長いストロークを有した仕様でした。
タイヤはピレリタイヤがストラトスの為に開発したP7が採用されています。
最初の仕様は市販車と同じ2バルブヘッド仕様で240psを発生、後に登場した4バルブヘッド仕様では290psを発生しました。
ホモロゲーションモデルをベースとしたグループ4仕様は74年のWRC第4戦サンレモでデビューウインを達成、最終戦までの5戦で3勝を挙げ、この年のマニュファクチャラータイトル獲得に貢献しました。
以降76年まで3年連続でチャンピオンを獲得、WRCにおける最後の勝利は81年のツールドコルスでした。
展示車両は76年から79年まで使用されたマシンで、カラーリングは77年モンテカルロ仕様(ラファエレ・ピント/アーナルド・ベルナッキーニ リタイヤ)となっています。
☆ランチア・ストラトスHF グループ4 車両諸元
全長:3710mm
全幅:1750mm
全高:1110mm
ホイールベース:2180mm
トレッド(前/後):1430mm/1460mm
トランスミッション:5速マニュアル
サスペンション形式(前/後)ダブルウィッシュボーン/マクファーソンストラット
ブレーキ形式:ベンチレーテッドディスク
燃料タンク容量:80リットル
車両重量:960kg(4バルブ仕様は970kg)
エンジン型式:ディーノ246GT
エンジン形式:水冷65度V型6気筒DOHC
ボア×ストローク:92.5×60mm
総排気量:2418cc
圧縮比:11.0
最高出力:240bhp/7800rpm(4バルブ仕様は290bhp/8000rpm)
最大トルク:28.0kgm/6000rpm(4バルブ仕様は30.6kgm/6000rpm)
ということでランチア・ストラトスの解説でした。
次回もお楽しみに!!
富士モータースポーツミュージアムは年中無休です。
ただし臨時休館の場合もありますので、ホームページや各種公式SNSで開館状況をご確認ください。