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2025/01/16

往年のツーリングカー

こんにちは!サービステクニシャンの庄司です。

先日、またまた静岡県の富士モータースポーツミュージアムへ行ってきました。

期間限定の特別展示車両の中で観ておきたいものがいくつかあったので急遽行ってみました。
また普段から展示されている車両も場所が変わったりして、見やすくなっているものもあったので収穫でしたね。

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富士通テン・トムス・スープラ
(トヨタ・スープラGTターボA MA70)

こちらのマシンは普段から展示されていますが、今回は見やすいところに置かれていたので撮影してみました。

MA70型スープラは全日本ツーリングカー選手権の最上位クラスで勝つために投入されたマシンで、デビューは87年の第4戦SUGOでした。
3リッター直列6気筒DOHCターボの7MーGTE型エンジンはノーマルの230psから380psまでチューニングされ、デビューレースで予選2番手から見事に優勝を成し遂げます。

ところが翌88年にレースにおけるレギュレーションが変更されたため事態は一転します。
ターボエンジン搭載車は競技に出場する際に換算排気量(同等の性能を持つ自然吸気エンジン相当の排気量)が用いられ、ツーリングカーレースでは排気量500ccごとに最低重量の区分が定められていました。
87年までは算出するためのターボ係数は1.4であったため、2954ccの排気量を持つスープラは換算排気量が4135.6ccとなり、4001ccから4500ccまでのテーブルに区分され、その最低重量は1255kgに定められていました。
もっとも当時のグループA仕様ではそこまでの軽量化は出来ておらず、87年仕様で1325kgでした。
このターボ係数が1.7に引き上げられてしまったため、スープラの7M型エンジンは5021.8cc換算となり、排気量の区分が2つ上の5001ccから5500ccの区分となったため、最低重量は1420kgまで引き上げられてしまいます。
これによりただでさえ軽量化に苦しんでいたスープラは、逆に100kg近く重い車体で戦わなくてはならなくなりました。

88年にはグループAツーリングカーレースのエボリューションモデル規定に合わせて『3.0GTターボA』が500台限定で販売され、大型のターボチャージャーやインタークーラを装着して270psまで出力が向上、冷却性能を考慮してフロントバンパーにエアダクトが追加されるなど、ベース車としての性能が高まりました。

※92年まではグループAの公認を受けるには『連続した12か月間の間に5000台以上生産された4座席以上の車両』であることが求められており、さらにツーリングカーレース用として特別な改良を受けた車両についてはスポーツエボリューションとして500台の追加生産を行うことで公認を受けることが可能でした。
日本では他にニッサンのHR31型スカイラインGTSーRやBNR32型スカイラインGTーRニスモなどが該当します。

これをベースとしたグループA仕様ではエンジンの出力が大きく向上し、最終的に500ps近い高出力を得るまでになっていました。

ターボAは88年の最終戦インターTECでデビュー、続く89年までインターTECでは2年連続で総合2位に入るなど健闘を見せましたが、ニッサン・スカイラインGTSーRやフォード・シエラRS500コスワースといった300kg程度軽量な2リッターターボエンジン車を相手に戦うことは困難であり、さらに90年にはBNR32型スカイラインGTーRがデビューしたこともあり、トヨタはトップクラスでの戦いを断念、スープラにおけるツーリングカーレース活動は90年限りで終了しました。

展示車両は90年シーズンを戦った富士通テン仕様のレプリカ、となっていますがどうやら完全にゼロから製作した車両ではなく、ベースになったのはデビュー戦で優勝したミノルタスープラの36号車であると言われています。

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ウェッズスポーツ・カローラレビン AE92

浅野自動車のAE92レビンは88年の第3戦仙台から93年の最終戦インターTECまで長きに渡って参戦したマシンです。
全日本ツーリングカー選手権の最小排気量クラスを戦うトヨタのマシンはAE86に始まり、AE82カローラFXを経てこのAE92へと移り変わりました。
トヨタのFFのツーリングカー開発はAE82から始まったのでまだまだ発展途上でした。
このクラスはホンダ・シビック対トヨタ・カローラの対決が最後まで繰り広げられましたね。

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前後とも16インチ径のホイールを採用していますが、フロントは190/580R16と割と一般的なサイズに近いのに対して、リヤが160/590R16とかなり細いタイヤなのもFFツーリングカーならではの特徴ですね。

なお浅野自動車の設立者でもある浅野武夫さんは1953年4月20に生まれの現役のレーシングドライバーであり、スーパー耐久選手権でウェッズスポーツGR86をドライブされています。

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AE92のほか、影山正彦さんが現役時代にドライブしたマイナーツーリング仕様のサニー、浅野自動車のスターレット、TRDのN2レビンなどは特別展示のため1月末までの展示ですので、興味のある方はお早めに足を運んでみてください。

富士モータースポーツミュージアムは年中無休です。
ただし臨時休館の場合もありますので、ホームページや各種公式SNSで開館状況をご確認ください。

次回も富士モータースポーツミュージアムの別の特別展示の模様をお伝えする予定です。

庄司 純也 サービステクニシャン

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