2018/09/22
続・新燃費基準『WLTCモード』日本導入について
前回は、「カタログに記載されている燃費」について触れましたが、
実際はどうやって計っているのでしょうか
ここで日本の計測方法「JC08モード」を例に少しご説明してみます
実は「JC08モード」以前に「10・15モード」という計測方法がありました。
(40代以降の方はこちらのほうがなじみがあるかもしれませんね)
「10・15モード」は実際の走行を再現するべく考えられたものですが、
設定速度は低く、加速も穏やかであるため、アクセルペダルの踏み込み量は少なめで、エンジン回転数もあまり上がりません。
また測定は、エンジンの暖機をすませる、ハンドルは切らない、エアコンは使わないなどの条件の下で、
高度な運転技術をもつテストドライバーによって行われます。
当然、実走行とは全く違った値が計測されます。
このかい離を是正するため新計測方法「JC08モード」が採用されるようになりました。
JC08モード燃費測定の例、縦軸に車両速度(km/h)横軸に時間(s)をあらわしている。
採用は2011年から。ちょうどエコカー減税などでハイブリッドカーの販売台数が飛躍的に伸びたころです。
しかしながらこの新計測でも実走行とのかい離は埋まりません
なぜでしょう
それは「JC08モード」でもまだまだ実走行を再現できていないところにあります。
例えばEUの「NEDC」の計測方法ではエンジン始動はすべてコールドスタート、
平均速度、最高速度ともにより早く、市街地を想定したストップ&ゴーの回数も多く設定されています。
そのため、フォルクスワーゲンをはじめとするヨーロッパの自動車メーカーは、実走行に近い「NEDC」を念頭において設計しているため。
実走行でもいいすぐれた燃費性能が発揮できるといわれています。
しかし、日本の自動車メーカーが目指しているのはあくまでも「JC08モード」の数値です。
その目指している計測方法が実走行に見合っていないのであれば、
『カタログはいい値でも実際の燃費はイマイチ』
ということが起こるのは容易に想像がつくと思います。
さらに、最近台数が増えてきたハイブリッド車ほどこのかい離が大きい傾向があるようです。
ちなみに、各自動車メーカーにはこのモードテスト専門としたドライバーがいるといわれています。
このドライバーは計測方法を熟知していて、カタログ値が0.1でも向上するように微細なアクセル操作ができるよう訓練されているのだとか、
自動車メーカーがいかに「カタログ燃費」にこだわっているかがうかがい知れますね。
現在、自動車は様々な国に輸出されていきます。
メーカーが各国で自動車の認証を取得するには、国ごとに異なる方法で試験する必要があります。
その試験方法を世界共通とするための国際基準が『WLTC』モード燃費です。
日本でも、今までのJC08モード燃費に変わり、今後はWLTCモード燃費が新燃費基準になります。
『WLTC』モード燃費では
・エンジンが冷えている冷機状態からの計測
・アイドリングストップ時間の減少
・平均速度、最高速度等の引き上げ
・運転者以外の乗員、積載物の重量上積み
などといった変更があります。
簡単に言うと『JC08モード』燃費に比べ『WLTCモード』燃費は実燃費に近くなるということです。
さらに、カタログへの表記には、「WLTCモード」燃費に加え、
市街地モード「WLTC-L」、郊外モード「WLTC-M」、高速道路モード「WLTC-H」
の数値も公表されることとなります。
これにより、ユーザー側の使用環境に応じて、燃費をイメージしやすくなります。
経済産業省「燃費の表示方法が変わります!」資料より抜粋
こんな感じの表示になる予定だそうです。
最近では一部の車種で、「WLTCモード燃費が実燃費に近い値になった。」
というような記事も見かけるようになりました。
日本への導入はいよいよ10月から、
自分の車の燃費がどんな数値になるのかも気になりますが、
私はわがVolkswagenの燃費がどうなるか、とても気になります